ご挨拶 100周年を迎えて

 総持学園鶴見大学附属中学校・高等学校は創立100周年を迎えました。大正13年(1924年)11月22日、瑩山禅師600回大遠忌の記念事業の一つとして、光華女学校の運営を引き継いだのが始まりです。
 初代校長中根環堂先生は瑩山禅師の「女人救済」というご誓願を建学の精神とされ、

教育の根本は、人を作ることである。日本人らしい女性を作ることである。知恵のすぐれた人とか、学者を作ることが、教育の目的であってはならない。社会に役立つ人間、落ち着いた人間を作らねばならない。いかなる困難に対しても恐れず、些細(ささい)なことにもしっかり目を配り、貧しくともそれに屈せず、海が干上がっても動じない。落ち着いていて、どんなことにも動じない精神と、志を堅く守って、変えない信念を持ち、自分を信じることを貫き通す人でなくてはならない。

という理念のもと、日々、生徒と一緒に過ごされていました。その教育理念は、女子校から共学校に変わった現在でも、一日たりとも絶やすことなく、現在まで100年間受け継がれています。環堂先生が掲げた建学の精神「大覚円成 報恩行持(感謝を忘れず真人となる)」のもと、人として当たり前のことを日々普通に実践できる、頭のいい人ではなく本当に賢い信念のある、人間らしいまことの人間をつくることを教育理念とし、日々、学校生活を送っております。
 これから私たちが生きていく社会は、急速な技術革新のもと、グローバル化や情報化がますます進み、仮想空間と現実空間が融合した新たな未来社会Society5.0になると言われています。これからの社会はますますインターネットやAIが進歩し、働き方や生活形態が一変することでしょう。
 環堂先生が、常に、生徒、教職員に「随所に主となる(いつでも、どこでも、自分の置かれた場所や、状況の中で、精一杯、こころを込めて勤め、励み、主体的に行動し、相手を最善に生かしなさい。そうすれば、自分が生かされ、光る。そのことに一所懸命になれば、真実が、そこに、現れてくる。)」人になりなさいとおっしゃっていました。先が見えない世の中だからこそ、幸せに生きていくために、自分の置かれた場所、状況で最善を尽くせる人として、どのような場所でも、自分らしく輝くことができるように、自分の目標に向けて日々の学習や学校生活を送り、一日一日を無駄にせず、日々成長する必要があります。
 次は何に挑戦しようかとワクワクしながら、まずは、やってみようという気持ちで、一歩踏み出し、何事に対しても「全力でチャレンジする」。失敗してもいい、それは、将来への大きな前進につながる。日々探究心を持ち、一歩一歩確実に成長し、この1年間を振り返ったときに、他の人との比較ではなく、今の自分と比べての成長を実感してくれるように、我々教職員は後押しをしております。
 これまでの歩みのなかで学んだことを力として、次の100年に向けて、教職員一同、創立以来の情熱と行動力を胸に、懸命に努めてまいります。今後ともご支援を賜りたくお願い申し上げます。
学校長 岸本 力也